細川俊夫 線IIについて考えてること
細川俊夫さんによる無伴奏チェロ曲「線II」に挑戦するのは2回目(2016年のマインドツリーvol.2で演奏)ですが、改めて取り組んでみてこの曲の難しさを感じています。何が難しいかというと、演奏によっては平坦な曲になり得る、ということです。この曲のもつ緊張感、空気感を表現するために、今自分が考えてるいることを3つ挙げてみます。
AとE♭の音
この曲は最低弦をAの音に下げる調弦で書かれていて、冒頭(最高音に近いAと、最も低いAの5オクターブ差!)や最後の音などAの音が重要な音として出ています。
それと同時にE♭の音もよく出現しています。
5年前に弾いたときにはあまり気にとめなかったのですが、
Ebがドミナント、Aがトニックのように考えると、上手くいくのでは、、?と考えています。
(Cの音もその次ぐらいに出てきますね、サブドミナント的な扱い?)
つまり、E♭の音に緊張感を保ち、Aで解決する、、と考えると1楽章のA→E♭にグリッサンドで移行する時や、逆にE♭→Aの動きにエネルギーが生まれると思うのです。
2楽章はE♭の弱音ではじまりますが、あまりゆるくなりすぎず、中盤のAの音まで緊張を保てると良いな、、と考えています。
3楽章のnon vibratoでfffまで到達するE♭の音はクライマックスであるとも思います。
senza tempoの扱い
もう一つ、たまに現れるsenza tempo(テンポ無し)の瞬間。senza tempoのパッセージは四角で囲まれて記譜されています。
細川さんが初演された堤さんのことを「座頭市のような、、」とコメントされていますが、一瞬の緊張のあと、相手を斬るようなイメージです、、と言うのは簡単なのですが、そのタイミングが難しいですね。
このsenza tempoの箇所以外は音の流れを意識する(頭の中で一歩先を考える)ようにし、このsenza tempoの瞬間だけ今出ている音に集中する、、とできると良いのではないかと思います。
弓2本への伏線
この曲の最後は弓を2本使います。両手に弓。
画像はドラクエIVのエスターク
両弓を使っていわば二声での演奏のようになるのですが、この二声になる伏線?を4楽章に入ったときから作りたいのです。
4楽章に入ってから弓を2本もつまで20小節ほどあります。
この間、楽譜をよく見ると、低音で徐々に下がる動きと、ハーモニクスで徐々に上がる2つのパッセージが交互に続きます。
(低音でD♭からCに下がる→ハーモニクスでCからD♭に上がる→低音でCからHに下がる→ハーモニクスでDからE♭に上がる、、)
これを断片的に感じるのではなく、最低音Aまで下がるラインと、最高音まで上がるラインの二声として感じたいですね。
バッハを演奏する時のように、実際には鳴っていないけれど音が続いている、、というイメージです。
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